総務人事労務の皆様、いつもお世話になっております。本日の東京は午前中から雨で急に冷え込みました。ビルの1室におりましたが、冷えてくる中で重ね着をして対応しました。

パワーハラスメント(パワハラ)の防止対策が2020年6月に法律上義務付けられて、事業主の義務となりました。コロナの流行下、在宅勤務やテレワークといったwithコロナをどう乗り切るのかという話題の中で小さくしか扱われなかったように思います。

 しかし、パワハラが法律に明記されたことは、小さなしかし確実な一歩として大事なことです。
 今から思えば、20年近く前の病院や大学医局ではパワハラが当たり前のことでした。今だから振り返れるのですが当時はそれが当たり前だと感じ疑問にも思いませんでした。怖いことです。そうやってまず自分をだまさないとやっていけなかったんですね。
 今は、産業医になるための研修や産業医としての実務を通して、なにがパワハラにあたるのかは判断できるようになっています。知ることはとても大事です。

 現在のパワハラについての法律のことや、ほかなにがパワハラなのか、またパワハラといわれたらどうすればいいのか、総務人事の方が相談を受けたら何をしたらいいのかなどがまとめられたHPを2つご紹介します。

① 厚生省のHPです 「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
 2020年6月5日に、女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法が改正されました(同年6月1日施行)。この改正により、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。
 この法律改正でパワハラが6つの類型としてまとめられました。

② あかるい職場応援団
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
 パワハラ関連の法律が改正される前から厚生労働省の下で公的情報が集約整理されていたHPです。
 オンラインでのパワハラ研修や、裁判事例など、内容も充実しています。パワハラにあっていると感じる方の社外相談窓口の案内も充実しています。2020年6月の法改正を受けて内容もアップデートされています。

 産業医の実務の上でも面談などで「実はパワハラだと思うんだけど、、」というご相談を聞くことも少なくありません。まずは傾聴いたします。そのうえでご本人のご希望があれば会社の相談窓口の方への相談を勧めたり、総務の方とまずはお話いただくように勧めます。「そこまでは、、」という場合は次にまたお話するようにお約束したりいたします。産業医の立場はあくまで中立です。
 ただ、ご本人の疲労が強い時などは「記録を残しましょう」とお話します。記録に残すことは、社内外の相談窓口に相談するときにもまず大事なことというのも勿論ですが、書くという行為で気持ちが落ち着く効果があるからです。PCへの記録でもいいのですが、一度言葉としてまとめ、それを頭の中から一時的にシャットアウトする(頭の中の「今は考えないフォルダに入れる」)、ことは自分の力でどうしようもないことに感じてしまう不安への対処法としても有効です。

 パワハラについては、会社ごとに状況も違いますので一概には言えません。法律上も個別の事例ごとに判断するのが望ましいということになっておりますが、以前に比べれは相談しやすい(というより、まだそっと口に出せるようになった段階かもしれませんが)雰囲気はでてきているかと感じます。
 一歩一歩、いろんな人が働いていて当たり前な、みなが楽しく健康に働ける社会に向かっていくことを信じて、日々できることをしていきます。

2020/10/19 産業医とねりこ記