総務人事労務の皆様いつもお世話になっております。
先日、特例子会社の作業所の巡視があり、担当の方から相談を受けました。
「本社から支給されたこともありアクリル板の設置を考えているが、消毒の方法やタイミング、誰がやるかの具体的方法に頭を悩ませている」とのことでした。
この作業所では、もともと作業中の私語はない環境でした。4月以降、感染対策として、昼食時以外のマスク着用、作業中は対面で座らない、始業前の検温、入室や作業前の手洗いまたは消毒、休憩場所でも密を避ける対策、が徹底されていました。昼食時は仕切りはすでに使用しています。
この状況から、現在必要と思われる感染対策はとられていると判断し、アクリル板設置により発生する手間や作業の社員に対する影響を考慮すると、アクリル板設置は不要と回答いたしました。
新型コロナウイルス感染症対策としての、職場でのアクリル板の設置に相談されたことは今回が初めてではありません。テレワークを大急ぎで導入しまたオフィスでの勤務を再開するためになにをしたらいいのか、と総務の方々が対応を検討されていました。
オフィス職場でもアクリル板の導入が進んだのは、経団連のガイドラインに書かれているのが大きいのかもしれません。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/040_guideline1.html
これは2020/5/14付けで緊急事態宣言の最中のものでした。
「人と人が頻繁に対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。」と書かれているのですね。
産業衛生学会のガイドラインをみてみましょう。「職域のためのコロナウイルス感染症対策ガイド 第3版 2020/8/11作成」です。
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0811koukai.pdf
こちらにはアクリル板の使用は記載されていません。
厚生労働省の下記のHP(報道発表 職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防、健康管理の強化について、経済団体などに再度協力を依頼しました 2020/8/7)では「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」が見られます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12865.html
この中ではアクリル板については状況を限定して記載されています。
「・接客業等において、人と人が近距離で対面することが避けられない場所は、労働者にマスクを着用させ、人と人の間にアクリル板、不燃性透明ビニールカーテンなどで遮蔽するようにしている。」
です。
接客業以外の想定では下記のチェック項目となります。
「・対面での会議やミーティング等を行う場合は、マスクの着用を原則とし、人と人の間隔をできるだけ2m(最低1m)空け、可能な限り真正面を避けるようにしている。」
アクリル板やビニールカーテンの使用については「接客業」であるか、「多くの来客との会議があるか」を基準に考えていただければいいのではないかと思います。体温管理をきちんと行い体調不良者が出社しないようにテレワーク環境が整っている職場であれば必須ではないと考えられます。
ただ、そんな職場はごく少数でしょう。ハードの対策がすぐにとれない、オフィスに出社が必須の業種でも、感染対策の基本中の基本である、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンスを徹底していただきたくことでクラスターの発生は予防できるはずです。できることを日々、実施してください。
最近の発表では新型コロナウイルス感染症対策分科会の「分科会から政府への提言」(2020/10/23)でも感染しやすい5つの場面、が示されています。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/teigen_12_1.pdf
新型コロナウイルス感染症の感染対策についても、どのような場面で感染しやすいかということがわかってきました。つまり感染対策が効果的にしやすくなってきたということです。
人々の「もとの生活に戻りたい気持ち」が出てきていることは上記分科会資料でも指摘されています。総務人事労務の方々におかれては、年末年始に向けて、会食などの機会をなるべく避けるよう社内にメッセージを送り続けることも大事かと思われます。
アフターコロナにむけて、いまは、今できることをしていきましょう。
感染症対策については産業医にもどうぞご相談ください。
2020/10/28 産業医とねりこ記