総務人事労務の皆様、いつもお世話になっております。

 先日、衛生委員会での産業医の話のテーマとして検診結果の見方についてというお題をいただきました。健康診断は、社員に受けさせるよう法律で決まっています。また、社員のほうも自身の健康維持に努める「自己安全義務」があると労働安全衛生法に定められています。
※ 参考となるHP 自己保健義務の概念は確立しているか 日本医事新報社 2014年
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3574

 さて、緊急事態宣言が2020/4/7から5/25まで出され、集合検診の予定を大きく変更せざるを得なかった方々も多かったのではないでしょうか。自治体の検診など受診率がさがったり、本当に治療が必要な方々も通院を控え病状が悪化しているという話題も流れています。
 新型コロナウイルス感染症の第3波がきていると、2020/11/11に日本医師会の会長が会見で述べたとのニュースも報道されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201111/k10012706541000.html

 そんな中、検診を受けたはいいものの、必要な「精密検査」や「再検査」のための受診控えが心配されます。今年の検診結果についての説明は、この状況を踏まえて、いつもと少し変えて行いました。

 ずばり、「優先順位」です。基準は「いのちにかかわるか」です。

 いのちにかかわる可能性がある「血圧」「心電図」は要受診であったらともかく受診してください。また、「糖尿病」もすぐに命にかかわるわけではありませんがなるべく早く治療を開始したほうが10年後、20年後の自分を変えられるので受診をおすすめします。
 そして癌を見つけるための検査としての、胸部レントゲン、便潜血については要受診であれば必ず受診を、女性であれば子宮がん検診、乳がん検診も要受診判定であれば受診してくださいとお話しました。
 女性によくみられる「貧血」も、数年来の受診の勧めにも関わらず受診しなかった社員がある日会社に来られなくなり診断名が「心不全」であった苦い経験があることから、個人的には受診をお勧めいたします。

 自粛期間中によく「不要不急の外出は控えましょう」と聞きましたね。不要不急というのは人生で実は大事なものなのですが、そういった話ができるのもまずは生きているからこそ、です。検診を受けたからには、命にかかわる疾患がみつかる可能性がある「要受診」の通知を無視せず、どうかこの時期でもきちんと適切な科を受診いただくように願います。

2020/11/12 産業医とねりこ記